ラッパー達はなぜカーハートのジャケットを愛するのか?
ヒップホップの各時代にはファッショントレンドが必ず存在するが、中には寿命の短かったものも少なくない。
しかし、1980年代から1990年代にかけて人気を博し、現在でも永続的にヒップホップファッションに影響を与え続けるアイテムが存在する。
CARHARTT(カーハート)のジャケットだ。
今回は、カーハートのワークウェアとラッパー達の歴史を振り返りながら、その密接な関係を紐解いていこう。
【目次】
1 カーハートをHIPHOPシーンに持ち込んだTommy Boy
2 HIPHOPの美学とマッチしたカーハート
3 人気を決定付けた2Pac
4 受け継がれるカーハートのDNA
1 カーハートをHIPHOPシーンに持ち込んだTommy Boy
頑丈で耐久性のある服として、農業や工場で働く労働者に愛されていたカーハートのジャケットをHIPHOPシーンに持ち込んだのは1981年に誕生したアメリカのヒップホップレーベル・Tommy Boy(トミーボーイ)だろう。
Tommy Boyはカーハートのジャケットを大量に購入し、そこに自身らのレーベルのロゴと、ストリートブランドであるSTUSSYのロゴを刺繍し、売り出した。
このアイテムは大きな話題を呼び、現在でもコアなヘッズ達の間で、高値で売買されている不朽の名作だ。
2 HIPHOPの美学とマッチしたカーハート
カーハートがストリートシーンに浸透したことには様々な理由がある。
中でも大きな要因は、カーハートの服は、当時のヒップホップが理想や美学として掲げた男らしく力強い人物像とマッチしたことだ。
厚みがあり、オーバーサイズであるカーハートのジャケットは、どんな体格の人が着ても重厚感が生まれ、人々は堂々と街を歩いた。
また、カーハートのジャケットに付いた、大きく充実したポケットは、路上のグラフィティ・ライターの間でも評判が良く、機能面でもカーハートの服は群を抜いていた。
1980年代からじわじわと広がっていた、ヒップホップシーンにおけるカーハートの人気は、1990年代に2Pacの影響で決定的なものとなる。
「THUG LIFE」を掲げる2Pacにとって、無骨でタフなカーハートのウェアは相性抜群であり、彼の魅力を引き立てた。
4 受け継がれるカーハートのDNA
当時のラッパーたちが示してきたカーハートへの愛は現在に至るまで変わらず引き継がれており、カニエウェストやエイサップロッキーといったファッションアイコンもカーハートのワークウェアを頻繁に着用している。
そして、彼らはただカーハートの服を着ているだけではない。
カニエウェストが手掛けるYEEZYのコレクションに登場するウォッシュド加工のワークウェアはカーハートのジャケットからインスパイアされていることは一目瞭然であり、エイサップロッキーは VLONEのロゴが背面に大きく描かれたカーハートのベストを着たことで大きな注目を集めた。
「本物は時代が変わっても生き残り続ける。」
カーハートを見ても分かる通り、この理屈はファッション業界においても例外でないようだ。
いかがでしたでしょうか。
今回は、ラッパーとカーハートとの関係を、歴史とともにご紹介しました。
明日はカーハートのジャケットを身に纏い、街へ出かけよう。
MINARI.(ミナリ)は情報の質にこだわり、記事の執筆に時間をかけて丁寧に行っています。他の記事もぜひ合わせてお楽しみ下さい。