80年代のヒップホップシーンで生まれたファッショントレンド特集
1973年8月11日に始まったとされるヒップホップカルチャー。
1980年代には多彩なファッションブランドがヒップホップシーンに受け入れられ、その姿を大きく進化させた。
そこで今回は、ヒップホップファッションにおいて重要なこの10年間に流行ったブランドやファッションスタイルを振り返っていこう。
【目次】
1 80年代に生まれたエアジョーダン
2 ナイキを突き放したアディダスとRUN-D.M.C
3 ダッパー・ダンのカスタムアイテム
4 バケットハット
5 巨大な金のチェーン
6 今は亡きTROOP
1 80年代に生まれたエアジョーダン
現在と同じく、80年代のヒップホップファッションにおいてもスニーカーは重要な要素であった。
そして、1984年にエアジョーダンブランドが設立され、1985年にはジョーダン1が発売された。
ジョーダン1は追いきれない程モデルが出ている今でも最も人気なスニーカーの一つであり、ジョーダンシリーズの象徴だ。
80年代後半には、レトロなジョーダン2、アイコニックなジョーダン3、クラシックなジョーダン4がリリースされた。
ナイキスニーカーの伝説は80年代に始まった。
2 ナイキを突き放したアディダスとRUN-D.M.C
アディダスのジャージにスーパースターをユニフォームとしたRUN-D.M.Cは当時のヘッズたちのファッションアイコンとなっていた。
そして、彼らの凄まじい影響力は1986年にMADISON SQUARE GARDENで行われたライブで証明された。
RUN-D.M.Cが楽曲『MY ADIDAS』を披露した際、オーディエンスの多くの若者たちが自分たちの履いている紐なしのスーパースターを手に持ち熱狂したのだ。
このライブの光景を実際に見ていたアディダスの重役アンジェロ・アナスタシオは、RUN-D.M.Cと約一億円のエンドースメント契約を交わした。
契約後、アディダスは4年間で100億円以上の売り上げを記録し、当時勢いに乗っていたナイキを大きく突き放した。
3 ダッパー・ダンのカスタムアイテム
80sのヒップホップとハイファッションを語る上で欠かせないのが、ダッパー・ダンという男の存在だ。
ハッスルにより大金を得たダッパー・ダンは、ルイ・ヴィトン、グッチ、フェンディといったハイブランドの本物のバッグを切り刻み、生地を繋ぎ合わせ、オリジナルのカスタムウェアを作り始めた。
センスを生かしたダッパー・ダンのカスタムウェアはラッパーやセレブ達の間で人気を博し、ジャム・マスター・ジェイやLL COOL J、マイク・タイソンなどがダンの店を訪れた。
人気のあまり、ブランドは取り締まりを強化してダンを訴え、彼はサービスを休止せざるを得なくなった。
取り締まりによりダッパー・ダンの伝説は終わったように見えたが、その影響力が認められ、2018年にGUCCIと公式パートナーシップを結び、74歳にして再びファッション業界に姿を現した。
嘘のような本当の話だ。
現在、バケットハットを被っているラッパーといえばScHoolboy Qを連想するかもしれないが、80年代当時は間違いなくLL COOL Jであった。
そして、その一つがKANGOLのバケットハット。
LL COOL Jは、KANGOLのバケットハットを最初に被ったラッパーではないが、最も流行らせたラッパーの一人だ。
アルバム「Bigger and Deffer」のジャケットにもなっている、赤いKANGOLのバケットハットを被ったLL COOL Jの写真を一度は見たことがあるだろう。
5 巨大な金のチェーン
80年代のラッパーたちはジュエリーに夢中になっていた。
そして、ヒップホップカルチャーが大きくなるにつれて、彼らの身に付けるチェーンも大きくなっていった。
ラッパーたちは、誰が最も派手で高価なジュエリーを付けているかを競い合い、エリックB&ラキムはアルバム「Paid in Full」のジャケットにて推定5000万円のゴールドジュエリーを身につけていた。
6 今は亡きTROOP
80年代に生まれたファッショントレンドの中で、現在まで受け継がれるものもあれば、勿論衰退して消えていったトレンドも存在する。
そして、80年代のスニーカー界の大御所ブランドTROOPもそのうちの一つだろう。
創業者の一人であるテディ・ヘルドは、LL COOL JがTROOPのスニーカーを履いている姿を見て喜び、このブランドの成功を悟ったという。
しかし、全盛期に突如「TROOPがKKKと関わっている」というデマが流れた。
この噂を信じたMC Shanは、楽曲『I Pioneered This』の中でTROOPを痛烈にディスり、ヘッズ達はTROOPから離れていった。
ヒップホップの手で始まったTROOPは、ヒップホップの手で終わったのだ。
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