腰パンファッションとヒップホップ | ラッパーたちに継承される文化
1990年代から2000年代のヒップホップを象徴するファッションスタイルの一つである腰パン。
なぜラッパーたちはズボンを下げるのか。
今回は、歴代のラッパーたちの腰パンファッションをチェックしながら、その歴史とストーリーを追っていこう。
【目次】
1 なぜラッパーはズボンを下げるのか
2 腰パンがデニムパンツを履く唯一の手段に
3 腰パンが社会問題に
4 腰パンスタイルの変化
5 今も引き継がれる腰パンのDNA
1 なぜラッパーはズボンを下げるのか
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腰パンの起源については諸説あるが、最も有力な説によればアメリカの刑務所制度が関係している。
当時の囚人たちには数サイズ大きい制服が与えられており、また自殺防止のためにベルトの着用が禁止されていた。
そのため、受刑者たちは常にズボンが下がった状態で生活していたという。
そして、釈放された受刑者たちがズボンをたるませたまま街を歩き、この腰パンスタイルが当時のヒップホップを象徴するファッションスタイルへと進化を遂げた。
2 腰パンがデニムパンツを履く唯一の手段に
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1990年代から2000年代初頭にかけて、Big Daddy Kane, 2Pac, Bow Wow, Soulja Boyといったラッパーたちが次々に腰パンスタイルを披露し、バギージーンズを下げて腰で履くファッションはヒップホップを代表するスタイルとなった。
もはや上半身がどうなっていようと関係はなかったのだ。
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もちろん、世界中の若者を中心に普及したこのファッショントレンドは全ての人に受け入れられたわけではない。
多くの年配者はこの新しい流行を無礼の極みと見なし、反対の意を示した。
これにより、学校や地方自治体では長年に渡り腰パンを禁止する規則を導入していたが、2008年にはバラク・オバマ元大統領がこの腰パン問題に言及。
フロリダ州では、腰パンを非行の兆候とし、2013年には最高500ドルの罰金が科せられる法律が制定された。
しかし、現在ではこの法律は廃止されている。法を持ってしても、若者のジーンズを上げることはできなかったようだ。
4 腰パンスタイルの変化
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時代の変化とともに、バギージーンズから、よりタイトでスリムなパンツがヒップホップファッションにおいて主流になると、腰パンのファッションスタイルも同じく変化していった。
上の写真の2005年のリルウェインはバギージーンズを腰履きしているのに対し、下の2011年の写真では女性用のタイトなパンツを履いている。
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腰パンファッションのシルエットが大きく変化した時代だ。
5 今も引き継がれる腰パンのDNA
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「腰パンは時代遅れ」という声はよく聞くが、このファッションスタイルは死んじゃいない。
トラヴィス・スコットといったラッパーたちはライブパフォーマンスの一環としてジーンズを下げ登場する。
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ジャスティンビーバーは、Calvin Kleinのパンツと腰パン文化のリバイバルに間違いなく貢献したアーティストの一人だろう。
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今は亡き伝説のラッパー・XXXTentacion。
腰パンは下品なファッションスタイルではなく、そこには若者の憧れが詰まっている。
いかがでしたでしょうか。
今回は、腰パンの歴史を、ラッパーたちの時代ごとのファッションをチェックしながらご紹介しました。
今後、腰パンが再び流行るのか、それとも死語となるのか。今後も動向を追っていきたい。
MINARI.(ミナリ)は情報の質にこだわり、記事の執筆に時間をかけて丁寧に行っています。他の記事もぜひ合わせてお楽しみ下さい。